心臓病の治療について
心臓病とは
TREATMENT
心臓病の治療は?
心臓病の治療は、具体的な病態や病気の進行度合いによって異なります。以下に一般的な心臓病の治療方法をいくつか挙げますが、個別の状況に応じて医師が最適な治療計画を立てる必要があります。
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薬物療法
心臓病の治療には、特定の薬物が使用されることがあります。 例えば、高血圧や高コレステロールを管理するための薬物、心不全や不整脈をコントロールするための薬物、血液をサラサラにするための抗血栓薬などがあります。 これらの薬物は病態に応じて処方され、症状の軽減や病気の進行を抑制するために使用されます。
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血管形成手術
心臓の血管が狭窄している場合、血流を改善するために血管形成手術が行われることがあります。
冠動脈バイパスグラフト術(CABG)や経皮的冠動脈形成術(カテーテル治療)などが一般的な手術法です。
これらの手術は、狭窄した血管をバイパスしたり、拡張したりすることで心臓への血液供給を改善します。 -
心臓弁の修復または置換手術
心臓弁が損傷している場合、弁の修復または置換手術が必要な場合があります。
手術によって弁の形状や機能を回復させるか、人工の弁で置き換えることが行われます。 -
心臓リハビリテーション
心臓病の治療では、心臓リハビリテーションプログラムが推奨されることがあります。
これには、適切な運動、栄養指導、ストレス管理、教育などが含まれます。心臓リハビリテーションは、心臓機能の回復や健康的な生活習慣の獲得を支援します。 -
心臓移植
心不全が進行し、他の治療法が効果的でない場合、心臓移植が考慮される場合があります。
INSPECTION
心臓病の検査
心臓病かどうかを診断するためには、まず胸痛や息切れ、むくみ、動悸といった症状があるか問診を行い、さらに聴診、胸部レントゲン検査、心電図検査、心エコー検査、血液検査などのさまざまな検査を行います。
心臓カテーテル検査とは
冠動脈は普通のレントゲンでは写らないため、造影剤が必要です。これを冠動脈に直接注入するための細いチューブをカテーテルといいます。
このカテーテルを手首や肘、足の付け根といった動脈から冠動脈まで進めて、造影剤を流して動画撮影します。造影剤の流れる映像を見て、冠動脈内腔のどこがどの程度狭くなっているかを診断します。
これが心臓カテーテル検査の中でも一般的な、冠動脈造影検査になります。この他にも、
- 左心室内腔を造影して心筋壊死の有無やその範囲を知る左室造影検査
- 先端に小さな電極が付いたカテーテルを心臓内壁に接触させ不整脈を詳しく調べる心臓電気生理学的検査
- 心不全の詳しい病状を調べるために心臓内の血圧や心拍出量を測定する右心カテーテル検査
- 心不全の原因を調べるために心臓の筋肉の一部を採取し病理学的な検査(顕微鏡、免疫染色など)を行う心筋生検
などがあります。血管内は痛みを感じませんので、検査中に痛みを感じるのは基本的に最初の局所麻酔の注射の時だけです。
検査全体に要する時間は、検査の内容にもよりますが冠動脈造影であれば30分から1時間程度です。検査の後は圧迫して止血します。
動脈であれば長時間(6~8時間)の圧迫止血が必要なので、専用の器具を用いることがあります。
ANGINA PECTORIS
狭心症の治療
薬物治療、カテーテル治療、バイパス手術が挙げられます。
薬物治療は血液をサラサラにして固まりにくくする抗血小板薬、血管を拡げる硝酸薬やカルシウム拮抗薬、心臓の緊張を緩めて負担を減らす交感神経β遮断薬が代表的なものです。
カテーテル治療は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)とも呼ばれています。
冠動脈造影と同じように、カテーテルという細い管を直接冠動脈の入り口まで挿入し、このカテーテルの中を通して細い針金を狭窄部の先まで送り込みます。
この針金をガイドにしてバルーンを狭窄部まで持っていき、バルーンを膨らませて狭窄を押し広げ拡張させます。全体の所要時間は数十分から数時間です。
また狭窄部にステント(コイル状の金属)を留置することもあります。ステントを入れて広げられた狭窄部は内側から支えられ、再び狭窄することを防ぎます。
近年は再狭窄をできるだけ防ぐために、薬剤を塗布したステントが主に使用されています。
さらに薬剤が塗布されたバルーンで血管を拡張することで再狭窄が少なくステント使用しない方法も可能となっています。
バイパス手術は、薬物治療が効きづらく、 カテーテルによる治療も困難または不可能な場合に行います。
冠動脈の狭い部分には手をつけず、身体の他の部分の血管を使って狭窄部分の前と後ろをつなぐ別の通路(バイパス)を作成して、狭窄部を通らずに心筋に血液が流れる道をつくります。
バイパスに用いる血管(グラフト)には、足の静脈(大伏在静脈)、胸の中で心臓の近くにある内胸動脈、手首の橈骨動脈などを使います。
CARDIAC INFACT
心筋梗塞の治療
狭心症の治療に準じた対応手段にはなりますが、心筋梗塞は命に関わる重篤な疾患であり、一刻も早く詰まった冠動脈を再開通させる必要があります。
発症から再開通までの時間が短いほど良いと言われており、治療の第一選択肢は緊急カテーテル治療ですが、カテーテルでの治療が困難な患者さんにはバイパス術が適応になるため、心臓血管外科とも連携して適切な治療を行います。
ARRHYTHMIA
不整脈の治療
不整脈の治療には、一般に薬物治療と心臓ペースメーカ、ICD、カテーテルアブレーションなどの非薬物治療があります。
「心室細動」などの危険な不整脈では、心臓に電気ショックをあたえ(除細動)、心臓のリズムを整える必要があります。
心臓ペースメーカの植込みの適用には、洞結節(自然のペースメーカ)の異常によって電気の流れが起こらない「洞不全症候群」や、刺激伝導系の途中が切れて、心室に興奮が伝わらない「房室ブロック」などといった、脈が遅くなる徐脈性不整脈が挙げられます。
ペースメーカ本体(電池と電気回路)と、リード(導線)で構成されていて、リード先端部分にある電極部分が心臓の筋肉に接して、電気刺激を伝えます。ペースメーカ本体とリードは、手術により体内に完全に植込まれます。
ICD(植込み型除細動器)は心拍が正常よりも速くなる頻脈性不整脈のうち、「心室頻拍」「心室細動」といった致死的な重症不整脈に対する治療です。
危険な頻脈をICDが検出し治療が必要と判断された場合は、電気ショック治療などの処置が自動で行われます。また脈が遅くなった場合には通常のペースメーカとしても働きます。
カテーテルアブレーションは、専用カテーテルの先端から高周波電流を流し、不整脈を起こす原因となっている異常な電気興奮の発生箇所を焼き切る治療法です。
飲み薬の治療だけでは症状やQOL(生活の質)が改善されないときには、カテーテル治療が有効な場合があります。
また近年は、不整脈の種類によっては、その有効性、安全性、経済性の面から、内服治療よりも優先して選択される場合もあります。
HEART FAILURE
心不全の治療
心不全は1つの病気ではなく、心臓の働きが低下した結果、起きた状態ですから、治療の原則は、心臓の働きを低下させたもともとの原因をはっきりさせ、その原因となった病気を治療することにあります。
大きくは薬物治療と、薬物以外の治療に分かれます。
薬物治療は、心不全の原因がなんであれ、その状態を向上させていく治療法として飛躍的に進歩してきました。
体内の余分な水分を取り除いて心臓の負荷を減らす「利尿薬」、心臓の働きを手助けする「強心薬」などがあります。
特に心臓の働きがかなり低下している場合は、心臓にかかる負担を軽くするアンジオテンシン変換酵素阻害薬などの「血管拡張薬」、心臓に障害を与えやすい交換神経の作用を抑制して心臓の寿命を延ばす「ベータ遮断薬」などに代表される複数の治療薬を組み合わせて、長期にわたって病気をコントロールしていきます。
薬物以外の治療は原因によって多岐にわたります。
心臓弁膜症なら弁を人工弁と取り替える人工弁置換術などが、狭心症や心筋梗塞が原因であれば、カテーテル治療やバイパス手術などが必要になります。
また薬物治療が難しい重症の患者さんには、心臓の動きをペースメーカで統一させる両心室ペーシング(CRT)や致命的な不整脈を止める埋め込み型除細動器(ICD)などがあります。
内科的・外科的治療を尽くしてもなお強い心不全症状が残る時には心臓移植を検討します。条件を満たした場合は心臓移植待機となります。心臓移植を待つ間などには補助人工心臓というポンプ装置を体内に移植することもあります。
DRUG
薬剤について
急性期治療で使用する血栓溶解剤
アルテプラーゼというお薬が使用されることがあります。この薬は、点滴で投与され、脳の血管に詰まってしまった血の塊(血栓)を溶かす作用があります。
この薬を使うためには、脳梗塞発症時間、頭部CTやMRIの結果、採血の結果等、様々な使用条件を検討し、投与が決定されます。
したがって、全ての患者さんに必ず使うことができるわけではありません。
心臓病でよく使用される内服薬
心臓病の代表的疾患として心筋梗塞、心不全を例に挙げて、よく使われる薬を解説します。
心筋梗塞でよく使われる薬
以下に代表的な薬を記載します。どのような薬が処方されるか、そしてどれぐらいの量が適切であるのか患者さん個々の状態に応じて検討されます。わからないことや不安なことがあれば処方される先生に相談しましょう。
血液をサラサラにする薬
血栓ができるのを防止し、再び心臓の血管が詰まらないようにします。
手術等では、この種の薬を休薬しないといけない場合があります。医療機関受診の際には、お薬手帳を見せたり、血液サラサラの薬を飲んでいることを医師に伝えたりしましょう。
血圧を下げる薬
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、β(ベータ)遮断薬などが使われます。患者さん個々の状態に応じて薬剤の種類、量が設定されます。
脳卒中のコーナーでも触れましたが、日々の血圧を測定し、かかりつけの先生に適宜見せるようにしましょう。
コレステロールを下げる薬
動脈硬化の進行を抑え、徐々に血管が狭くなり詰まるのを防ぐ作用があります。
血管を拡げる薬
心臓の血管を拡げて、血管が詰まらないようにする薬が使われることがあります。
心筋梗塞でよく使われる薬
心不全の患者さんには血圧を下げる薬、尿量を増やす、脈拍を抑える薬などが使用されます。心不全の状態等を検討し、薬の種類が選定されます。
血圧を下げる薬
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、サクビトリルバルサルタンといった薬が使われます。
心不全をできる限り進行させないようにするために使われので、血圧が高くない場合でも処方されることがあります。毎日血圧を測って日々の血圧を把握しておきましょう。
尿量を増やす薬(利尿剤)
ループ利尿薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、SGLT2阻害薬、トルバプタンといった薬が使われます。
体に貯まった余分な水分を尿として排泄させ、心臓にかかる負担を軽くします。薬の効果で尿として排泄した水分量と口から摂った水分量のバランスを取る必要があります。
バランスを崩さないように1日に飲んでもよい水分量の目安を医師に相談しておくことが重要になります。
脈拍を抑える薬
脈拍を遅くすることで心臓を休めて楽にさせ、心不全の悪化を抑制し、心臓の寿命を延ばす効果があります。基本的に急激に投与はせず、少しの量から時間をかけて段階的に、できる限り増量していきます。
心臓病の治療は個別の状況に応じて、医師が最適な治療計画を立てる必要があります。
主治医の方と納得がいくまでコミュニケーションを取ることが重要です。
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